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チームビルディング事例

  • 執筆者の写真: Lin Lin
    Lin Lin
  • 2023年2月4日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年12月20日

~アフターM&Aのマネジメントチーム作り~


背景

  • 欧州化学メーカーによる日中合弁企業の買収。人事、財務、ITといった機能面の統合(PMI)は完了したものの、組織の「心」の統合は置き去りにされていました。 買収された側の旧経営層は、表向きは従順ながらも内実では反発する「面従腹背」の状態。新経営陣が打ち出す諸施策に対しても協力姿勢が得られず、組織の求心力低下が深刻な課題となっていました。新旧マネジメントチームの間に横たわる「見えない壁」を壊し、健全な経営体制を再構築することが急務でした。


プロジェクトの内容

事前ヒアリングにより、買収時期を境にした新旧社員の圧倒的な「価値観の断絶」が浮き彫りとなりました。旧CEOを中心とする陣営は、総論では賛成しつつも、実行段階では現場の困難を強調し、従来のやり方に固執するという構造的な停滞に陥っていました。

事務局との協議の結果、具体的な「やり方(手法)」の議論を一旦横に置き、**「対立を深める構造そのものを打破する」**というゴールを設定。

  • 「MeからUsへ」: 個々人の主張(Me)を超え、我々(Us)としてどうあるべきかという関係性の構築に重点を置いたグランドデザインを設計。

  • 対話の焦点: 「新組織のマネジメントチームとして、中間管理職に対しどのようなメッセージを発信すべきか」という、リーダーとしての共通の責任にフォーカスし、グループダイナミクスを活性化させました。



成果

  • 旧トップによる結束の宣言: セッションを通じて、旧経営陣のトップ自らが「陣営を問わず、新生組織のマネジメントチームは一つであるべきだ」という強いメッセージを発信。

  • 心理的帰属意識の向上: メンバーそれぞれの組織に対する帰属意識が高まり、一体感を醸成するための具体的なフォローアップ施策が合意に至りました。

  • 新体制の確立: 現場の信頼が厚い旧経営トップを前面に立て、それをマネジメントチーム全体で支えるという「実効性のあるリーダーシップ体制」への合意形成がなされました。


参加者フィードバック

「対話を通じて、自分が『買収された側』としての屈辱感を抱えながら仕事をしていた事実に、初めて向き合うことができました。その感情が根底にあったからこそ、新しい提案をまず拒絶してしまっていたのです。」

「買い手側として、なぜ彼らがこれほどまでに我々と異なる行動をとるのか理解できずにいましたが、合弁会社の歴史を紐解くことで、彼らの譲れない信念を深く理解することができました。」

「我々経営陣の不協和音は、想像以上に拡大されて社員の目に映っていました。喧嘩腰の姿勢が組織に悪影響しか与えないことに気づかされました。もはや『売り手・買い手』と区分している時ではありません。20年かけて育ててきたこの組織の未来を明るいものにするために、今こそ手を取り合うべきだと確信しています。」


コンサルタント所感

M&Aにおいて、数字や仕組みの統合以上に困難なのが「感情の統合」です。 特に、長年組織を率いてきたリーダーにとって、買収されることはアイデンティティへの挑戦でもあります。今回の成功の鍵は、コンサルタントが安易な解決策を提示するのではなく、彼らが抱える「屈辱感」や「誇り」という生々しい感情を表に出せる場(コンテナ)を作ったことにあります。

経営陣が互いの歴史を尊重し、「自分たちの好き嫌い」ではなく「次世代にどのような組織を残すべきか」という高い視座に立ったとき、組織は初めて一つになります。孤独なトップ同士が鏡となり、自身の内面をアップデートするプロセスこそが、真のPMIを成し遂げる唯一の道であることを再確認した事例です。


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